飛騨の円空仏

先日、祖母の3周忌で飛騨へ帰郷した。その際いくつか円空所縁の場所を巡った。

旧国府にある清峰寺では最晩年の作と言われている3体(聖、千手、龍頭)が観音堂に安置されている。地元の世話役の方から話を聞きながら拝見した。どれも素晴らしかったが特に竜頭観音に惹かれた。岩座からの立ち上がりが岩壁のように力強く、アンバランスな程に伸びやかな頭上の竜を支えている。また、どの像も一見異形だが澄んだ空気を纏っている。飛騨の街の土産物屋の軒先に多くある円空風の紛いものとは形は似ているが空気感がまるで違う。信仰の歩みの軌跡が形の背景に現れるものなのかもしれない。