現し(うつし)について

 

対象の形をうつしとろうとする意識の手から零れ落ちるものがあるとしたら、それは何か。

表象の奥に潜んでいて、不確かだけど確かに感じられるもの。

ひそやかな存在に近づくのは、耳を澄ます感覚に近い。

だけどそれは、耳に届く声ではない。

眼差しを向ける事で近づいて、凝視すると見えなくなる。

見ようとする意識を手放すと、不意に現れてきたりする。

そうした不確かなモノとのやり取りを、物を彫ったり、捏ねたりしながら続けてきた。

見通しのきかない道行きのわりに、その先が広々とした世界に繋がっている予感を疑ったことはない。

それでも、手をかけた物の多くは目に見える形に終始して、進む先を見失って立ち止まる。

そんな時は、夜の山を歩いたりする。

輪郭の滲んだ森の沈黙や、山肌を吹き下ろす大風に、背後に広がる世界の奥行きを見る。

と同時に、その奥行きに包まれ、見られていると感じることがある。

その中にたたずんでいると、世界(宇宙)の中にある私という存在の不思議に触れて、安堵と畏れが入り混じった感覚が湧いてくる。

その感覚を、僕は「祈り」と名付けて呼んでいる。

「現し」について想いを巡らせて、語ろうと試みるが、本質の周縁を辿るばかりで、肝心なところは拙い言葉の隙間から零れ落ちていく。

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【展覧会情報】

橋本雅也・六田知弘「現し(うつし)」

会期|2026年4月18日(土)〜5月30日(土)

会場|ロンドンギャラリー白金

   (東京都港区白金3-1-15 白金アートコンプレックス4階)

開廊時間|11:00〜17:00

休廊日|日曜日・月曜日